今年4月にカスタマーハラスメント条例を施行した桑名市で、6月30日、初めてカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の事案認定がなされ、市は同日、事案の概要を公表するとともに、行為者に対し警告書を発布した。
同条例では、就業者又は事業者は、カスハラに該当すると考えられる事案が発生したときは市長に対し確認、又は認定を求めることができると定められており、市長は同第7条に定められた有識者による桑名市カスタマーハラスメント対策委員会の答申を受けて、確認又は認定を行う。確認又は認定を行ったときは、市長は当該事案の概要を公表し、行為者に対して当該行為をやめるよう警告する(第8条及び第9条1項)。本事案は、事案の概要の公表と警告がなされた第1号事案となる。
本事案では、市内に事業所を構える運送業者が被害を受けた。当該運送業者は今年4月、行為者の依頼した荷物を破損した際、行為者宅での謝罪、荷物の再購入への同行、土下座等を、威圧的な態度で「土下座しているところを撮影するぞ」等の発言も交えながら要求された。
桑名市カスタマーハラスメント対策委員会は、4月30日に市長より本事案について諮問を受けた。2回の調査審議で、請求者である当該運送業者による録画等の証拠資料から、上記のような行動が実際にあったことを認め、「要求の内容に妥当性がなく、その手段及び態様が社会通念上不相当」であり、さらに「就業者の就業環境が害されるおそれがある」として、カスタマーハラスメントであると6月30日付で市長に答申した。
市長は同答申を受け、本事案をカスハラとして認定した。今後、行為者が警告書の発布を受けても同様の言動を中止しない場合、条例第9条2項に則り氏名公表の制裁措置が科される。