カスハラ・クレーム対応で訪問する場合の注意点

カスハラ・クレーム対応で訪問する場合の注意点

顧客が会社にクレームを行う場合に、自宅への訪問を要請するケースがあります。

誠意があるならば自宅に来て謝罪するのが筋なのではないか?と求められ、一人で自宅を訪問した。自宅で、強圧的に責め立てられた結果、本来不要な補償をさせられることになった。

飲食店で働いている従業員が、誤って食べ物を顧客の服にこぼしてしまった。クリーニング代を持って自宅を訪問して謝罪したところ、クリーニング代・謝罪は受け取ってもらえたものの、長時間拘束をされてしまい、業務に支障をきたした。

クレーマーの自宅を訪問する際の対応に注意を払わなければ、このような失敗につながってしまいます。

自宅を訪問する際にどのようなカスハラが行われるか、どのような対応をするのが適切かを知っておくことで、このような失敗を防ぐことが可能です。

この記事では、クレームを受けて自宅を訪問する場合の対応方法についてお伝えします。

土下座を要求してくるクレーマー・カスハラの法的問題と対応方法
「責任者を出せ」「上司を出せ」と要求する悪質クレーマー・カスハラへの対応方法
「誠意を見せろ」と曖昧な要求をするクレーマー・カスハラへの対応

カスハラ・クレーム対応に
お悩みの方

お気軽にご相談ください

経営者様・会社様専門の相談窓口となっております

カスハラ・クレームで訪問する場合のリスク

カスハラ・クレームで訪問する場合のリスク

顧客が感情的になっている場合に、自宅に訪問して真摯な態度で接することは、顧客の感情を鎮めることに効果的です。

また、顧客が何に怒っているのか、どのような問題点があるのかを正確に把握することに繋がります。

一方で、自宅のような相手方の支配領域で対応をする場合には、次のようなリスクがあります。

長時間拘束・監禁されるリスク

顧客の自宅に長時間拘束される・監禁されるリスクがあります。

自宅に訪問すると長時間顧客の話が終わらないことがあります。

このような場合に退席の意思を明確に示しているにも関わらず、どうしても顧客が退席させないような場合には、監禁罪(刑法220条)に該当する場合があります。

脅迫的な言動を受けるリスク

店舗等では、他の顧客や従業員などの他人の目があるのに対して、自宅の場合他人の目を気にする必要がありません。

そのため、脅迫的な言動を受けるリスクがあります。

中には、暴力団関係者を同席させて、不当な要求をしてくるケースもあります

脅迫的な言動を受けた場合に、訪問した従業員が萎縮してしまって口頭で要求を飲んだ場合には、後に適切な対応をしようと思っても「話が違う」と言われ、解決が難しくなってしまいます。

顧客の私物を壊したなどの言い掛かりをつけられるリスク

例えば、顧客の自宅を訪問した際に、通された席の椅子の下に壊れたメガネを置いておき、着席した際にメガネを壊したなどと言い掛かりをつけられるリスクがあります。

また、顧客が高齢者で認知症を患っている場合には、自宅の金銭を盗んだ等、思い込みによって言い掛かりをつけられることもあります。

カスハラ・クレーム対応に
お悩みの方

お気軽にご相談ください

経営者様・会社様専門の相談窓口となっております

カスハラ・クレームで訪問する場合の注意点と対応方法

カスハラ・クレームで訪問する場合の注意点と対応方法

上述したように、訪問にはリスクがあります。そのことを踏まえた上で、顧客の自宅を訪問する際の対応については、以下の点に注意をしましょう。

  1. 訪問するかどうかを慎重に検討する
  2. 訪問する場合は、訪問場所はできる限り第三者の目がある場所にする
  3. 訪問して対応する時間を明確に伝える
  4. 複数名で訪問する

1. 訪問するかどうかを慎重に検討する

自宅に訪問するかどうかは慎重に検討しましょう。

自宅に訪問することは、感情的になっている顧客の怒りを軽減する効果がある反面、リスクも大きいです。

まずは電話で、クレーマー対応の標準的なプロセスである、5W1Hに基づいた聴取・裏付け資料等による調査を行います。

その上で、クレームの正当性、顧客の態度・口調等から判断し、訪問するかどうかを判断しましょう。

クレーマーからの謝罪要求には適切な対応を!謝罪の区別と4つのステップ対応

2. 訪問はできるかぎり第三者の目がある場所で行う

自宅等の相手の支配領域に訪問することには様々なリスクがあります。

そのため、原則として自宅等の相手の支配領域に訪問することは避けるべきです。

そもそも、クレーム対応・面談をどこでするかは、本来企業の自由であり、顧客に決定権があるものではありません。

訪問を必要とする場合でも、面談の場所は自社で決めることを伝えた上で、ファミレス・喫茶店・ホテルのロビーなど、第三者がいる場所を指定するようにしましょう。

冒頭の顧客の自宅において強圧的な言論によって本来不要な補償をさせられることになったケースのような場合には、面談場所を自宅ではなくホテルのロビー等で行うことで、第三者の目を気にして強圧的な言論が軽減され、冷静な話し合いができる可能性が高くなると考えられます。

カスハラ・クレーム対応に
お悩みの方

お気軽にご相談ください

経営者様・会社様専門の相談窓口となっております

3. 訪問して対応する時間を明確に伝える

訪問して対応する時間を明確に伝えるようにしましょう

対応する時間は事案によりますが、30分~1時間程度が相当でしょう。

面談の冒頭で「お時間1時間ほど頂戴いたしまして……」と伝えるなどして、対応する時間の目安を伝えるようにしましょう。

それ以上の時間がかかるものについては、切りの良いところで話をまとめて、退出をするようにしましょう。

このような対応には「後ろに予定を入れるな」などのクレームに発展する可能性もあります。しかし、このようなクレームに拘束される必要はないため、毅然と断るべきです。

冒頭の長時間拘束されたケースは、対応時間を事前に伝えることで、防ぐことができる可能性があります。

4. 訪問する場合には複数名で対応する

顧客の自宅に訪問する場合には複数名で対応しましょう。

自宅に訪問を要求する顧客は、自分が正しいと考えて、訪問してきた従業員に接してきます。

そのため、1対1だと心理的な圧迫が強く、上手く対応できない可能性があります

しかし、従業員が2人以上いれば、心理的な圧迫も和らぎ、上手く対応できる可能性が高くなります。

また、1対1だと、自分が正しいと考えている顧客の要求を受け入れない限り、話が進まなくなることが多いです。

しかし、従業員が2人以上いれば、一方が聞き役になり、もう一方が冷静に話を聞きながら、話を整理することも可能でしょう。

顧客が感情に任せて喋っているようなケースでは、話が大きく横に逸れる事も珍しくないので、話を元に戻すために横槍を入れてもらうことも可能です。

冒頭の強圧的に責め立てられた事例では、2名以上で訪問することで、必要以上に萎縮することもなくなり、一方が責め立てられているときにはもう一方が会話に横槍を入れることで、比較的冷静な話し合いが可能になると考えられます。

まとめ

まとめ

本記事のまとめは以下の通りです。

  • カスハラ・クレーム対応における訪問にはリスクがある
  • 訪問するかどうかは慎重に検討すること
  • 訪問の際はできる限り第三者の目がある場所を指定すること
  • 訪問の対応する時間を明確に伝えること
  • 複数名で訪問すること

顧客の自宅に訪問する場合には様々なリスクがあります。

そもそも訪問をするかどうかについては十分に検討し、訪問をする場合であってもリスクを軽減するために、ご紹介した方法を導入することをお勧めします。

香川総合法律事務所では、当該企業の実態に添った具体的なマニュアル作成及び実演を交えたコーチング研修等を行っております。クレーマー顧客対応や訴訟になった場合のシームレスな訴訟対応も可能ですので、クレーム対応に不安がおありの場合は是非ご相談ください。

カスハラ・クレーム対応に
お悩みの方

お気軽にご相談ください

経営者様・会社様専門の相談窓口となっております